齲蝕のメカニズムとリスク
食生活とプラークコントロール
齲蝕予防(フッ素・シーラント・キシリトール)
 

超かんたん技工に必要な虫歯予防学(2)

食生活  
リスク判定の8項目を覚えていますか?
1.ミユータンス菌の数
2.ラクトバチラス菌の数
3.飲食の回数
4.プラーク(歯垢)の量
5.フッ素の使用回数
6.虫歯の経験
7.唾液の質と量
8.唾液の緩衝能
3・4の項目を強調してあります、この2項目は患者さん本人の意思で抑制できるものです。これを抑えることが他の項目の数値にも当然影響し自然と全体のカリエスリスクが下がります。
つまり、飲食する回数を減らしたりプラークスコアの数値を減らすことで虫歯に対する抵抗力が増しミユータンス菌・ラクトバチラス菌も減少します。唾液の緩衝能 (pHを正常域 に保とうとする性質)の働きで飲食する回数を減らすか間隔を長くすることで予防に大きくつながります。 

飲食の回数   

左の図はステファンのカーブです飲食と口腔内のpH値の関係を表したものです。
飲食をすると酸性に傾き2〜3分で脱灰がはじまります。でも食事が終わると唾液の緩衝能でpHが徐々に正常域に戻っていきます。下側の図はおやつの回数を増やすと再石灰化しないのに次の飲食が始まって脱灰が進んでいきます。食べ物にもよりますが再石灰化までに30分間〜60分間ほどかかり、その間に飲食をすると歯の表面は酸にさらされて齲蝕にかかります。

食物摂取の注意点
1.
2.
3.
たくさん糖が入っている食物に注意
飴などお口の中にとどまる時間が長い食べ物に注意
就寝前に糖類を摂らないよう注意
 

プラークコントロール
1-2
  歯を失う原因で46%が虫歯で45%が歯周病です、この二大疾病で92%の歯を失っているのです。この大き要因はお口から摂取する食べ物なのです、飲食すると当然残渣が残り時間が経つとプラークが産生します。しかし、原因であるプラークをゼロに出来れば良いのですが、それは不可能です。プラークの増殖を抑制し、自身に悪影響を及ぼさない程度にいつもコントロールしておくことが必要です。つまり歯ブラシなどの清掃用具により、細菌の量を減らすプラークコントロールが最も大切な予防法なのです。

例えば掃除機を使うにしても目的箇所に合わせたアタッチメントを選択しなければ効率良く清掃ができません、歯も同じで場所によって器具を替えながらプラーク除去していきます。
ここに清掃用具を列記しますが技工にも関連しますから技工室に揃えておいてください。
    ・歯ブラシ

・デンタルフロス

・歯間ブラシ

・小歯ブラシ

・洗口剤
・歯ブラシ
  私見ですが、段差が付いたブラシは歯間部やポケットに入りやすく清掃性が良いように思われます。また歯磨き剤はフッ素配合のペーストは再石灰化を促進してくれますから予防に有効であると考えています。
・デンタルフロス
  デンタルフロスは隣接面の清掃に有効なのですが、連結されてる歯にはとても難しい清掃器具です。我々技工士はフロスで清掃できる隣接形態が目標で、出来る限り凸面の形態を作るべきで凹面を故意に与えるべきではありません。
・歯間ブラシ
  歯間部の広さにあわせて毛先の大きさ(SS・S・M・L)を選びますが、技工物を作るときはブラシが入る頬舌入口は広く開け奥では少し抵抗感があるくらいの大きさの固形空隙を与えます、また連続で作るときはなるべく一種類の歯間ブラシで全てが清掃できるように衛生士さんとの打ち合わせが必要なときもあります。
・小歯ブラシ
  プラスチックの柄の先に小さな歯ブラシを付けた物です。
歯間ブラシと競合するところもありますが、歯肉からインプラント体が立ち上がる部分の清掃や最後臼歯の遠心部に使います。
・洗口剤
  洗口剤とは液状のうがい薬で殺菌効果があり、虫歯・歯周病の原因であるプラークの形成も抑制すると言われています。また、免疫力の落ちた高齢者に肺炎などの予防にも有効で、就寝前に軽く洗口してからお休みになるようお勧めします。(画像は医薬品のネオステグリーンです)