きょうの臨床 2007.12.06 |
清掃性について独断的考察、そしてインプラント完成 |
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1)基質的な問題で清掃がし辛いから停滞。 白丸--- 上下咬合関係がV級で根本的に歯槽頂と人工歯の位置関係が悪く凹面が発生して清掃できない部位。ここに関しては粘膜に強く当てることにより食物残渣の入り込み難くするか、定期的なPTCに頼るしかないように思われます。 |
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2 )自身のケア不足か、開放状態が悪くて停滞。(歯間ブラシとフロスに分離) 黒丸---患者さん自身が歯間ブラシで清掃できるが達成されなかったのか、開放状態が悪く停滞した部位かは衛生士さんの判断に頼るところでしょうが。 インプラント体に近接してるこの部分の清掃方法は、歯間ブラシのサイズの決定その大きさ・方向など考慮する要素が沢山あると思われます。 歯間ブラシが入り易いように空隙を作れば解決するように感じるが、発音障害や審美の関係上大きく開放することもできず、また同一の歯間ブラシに統一するには大きさを揃えて開放する必要もあります。 しかも、ガム模型上(ジンジファーストリジッド)での空隙と口腔内ではギャップがあり、模型上で設計した歯間ブラシのサイズより明らかに大きなサイズが入るように感じています、私の経験では。 青丸---フロスで清掃できるが実行されてなかった部位。 最遠心部の部位は、凸面で形態を作ってあれば、臼歯対応のY字形タイプフロスをインプラント体外形に沿ってソフトに上下させるようにすれば停滞しないと思われます。 残存歯に隣接するインプラントは離れぎみに埋入されるため隣接コンタクトからインプラント体までの距離をつなぐアールは重要で今後の課題です。 |
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赤丸---上部構造の形態が悪く患者さん自身で清掃できなかった矢印部位3箇所(重複箇所あり)。 よく似たポンテック形態なのに、なぜ清掃できる部位と出来ない部位があるのでしょうか? 形態と清掃用具に何らかの因果関係があるのか・・・或いは他に何らかの要素があるのか判かりません。 |
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この部分を精査してみたところ、両者に違いがあるように感じました。 ファイナルデンチャーの参考用に上記プロビデンチャーの粘膜面をコピー し その印象にレジンを流し込み観察してみると、プラークが付着してない部位と付着してる部位には2点違いがあることに気づきました。 まず、他の部位と比較して粘膜部にタッチする幅が狭いことです、しかし唇側部分が凹んでいて舌側は他と変わりがないように感じますから、この影響ではないようです。 次に、Aは付着していない部分、Bは付着している部分を図に表してみました。 粘膜面と密着していてプラークの入る余地がない可能性も一つの要因として捨て切れませんが、AB見比べるとA側は粘膜部からストレートに立ち上がっているのに、B側は粘膜部からアールを描いて立ち上がっています。 多分想像では、付着してる部位にタフトブラシの角度や毛先の形態が合わず用具が届いていないように感じます、断言できませんが部位によってリッジラップのような柔らなアールで中途半端な空隙は清掃性が悪くなるのではないでしょうか? したがって、用具の特徴を踏まえて形態を製作する必要があるのでは・・・。 あくまでも、私の独断的考察ですから断定はできません。 尚、ご批判や修正・追加は素直にお受けいたします、いつでもお知らせください。 |
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ガックリの二重奏 2007.12.22 |
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下方の症例のベラシア NC 本日ファイナル装着で立会いに行ったところ、この状態です。 ファイナルも同じ人工歯を採用したので今後が心配です、ガックリ一つ。 以前にもこの問題点は承知していたのですがプロビならと使ってしまいました、この形を患者さんに受け入れられてしまいファイナルまでも・・・ 黄色い領域はプラークが付着している部分です。 そして、もう一つのガックリ、装着時の正中が左にずれているどこに原因があったか判かりません。しかし、全ては私の責任です。 茶々丸さん、右側の咬合状態です、患者さんにお聞きしたら朝起きたときには破折していたそうです、舌側からの画像がありません。 睡眠時のパラファンクションでの破折で、今後の対応を考えたいと思います。 下顎の補綴は私ではありません。 今気づいたのだが、V級なのになぜ犬歯部が正常に排列できてるの? あそうか、小臼歯部分に大臼歯サイズの人工歯を入れたから半歯分前歯が近心に配置できたのですネ。 |
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追加 2007.12.23 |
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茶々丸さん超ぷちに多くのコメント有難うございます。 多様な選択肢を知ることができとても勉強になります、全く同じ症例はありえないが同様な症例では広い視野で見ることができるでしょう。 今回の症例は咬合高径の変更や沢山の補綴形態を考えてみましたが、良い案が浮かばなく 「症例のご相談」で皆さんに助けを求めてはみたものの、返答がありませんでした。 以前は残存歯に維持を求め被蓋を与えたパーシャルデンチャーが装着されていたが、この欠損様式では患者さんの満足を得られるはずもなく残存歯が順次崩壊していくことは目に見えています。あらゆる補綴を模索してもインプラント以外の選択肢はなく、困難を承知でインプラント治療へと移行しました。 記載してあるようにV級の咬合様式で、残存歯がバージンテースその上残存歯の配置が悪く咬合高径が低いこと等悪条件下での補綴となりました。 咬合のコントロールは大きな要素であることは十分承知していますが、このケースでは残存歯の保護やアーチ状のインプラントゆえに犬歯誘導以外は考えられなく、また前方運動は前歯でガイドするしかありません。但し破折はベラシアNC自体の欠陥と考えられ、それを承知していたのに使ったことに今は後悔しています。 。 9 ヶ月間プロビで様子を見ていましたが、この症例で一番大きな問題は炎症のコントロールで、インプラントにおける自身の清掃性をいかに達成させるかが私の命題と心得ていました。 担当衛生士さんと清掃方法や器具の選択等で幾度となく意見を交わし対応してきたが、2度のプロビ作成後も達成されない領域がありました。 ファイナルでは歯間ブラシでインプラント体の辺縁を患者さん自身で清掃できるように多めに開放しておきました。そして定期的なプロケアし易いように衛生士さんの意見を取り入れ粘膜部形態の修正をして帰宅しました。 結果は・・・・ |
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