きょうの臨床
 
初チャレンジ(個歯トレー)                2011.4.22
去る2月19日,「だいさん会」というスタディグループにおいて,QDTや「シェードテイキング超入門」などでお馴染みの内藤孝雄さんの講演を拝聴する機会がありました.

氏は専門学校卒業後,27年間同じ歯科医院に勤務されており,それによって自身で作製した補綴物の経過を長期に観察できるというメリットが,現在の臨床に生かされると話されておられました.

歯科技工士の講演では,主にその製作法や装着直後の最も良い画像で終了することが多い中で,氏は色調や製作法などには全く拘ることなく,如何に長期的に維持安定することが大事であるかを説いておられました.
したがって,長期経過した症例の提示や,その反省点などをお聞きすることができ,私自身貴重な疑似体験をして帰宅しました.
ありがとうございました. その中で個歯トレーの製作法とその有効性を,説明されておりましたので,
一度は試したいと思っておりましたところ,チャンスが巡ってまいりました.


講演時のメモには上記のようなイラストを記載しておりましたが,残念ながら初体験でいまいち作成法が判りません.
自分なりに考えて,以下のような物を納品いたしました.

皆様
我こそはという方は,アドバイスよろしくお願いします.


まず,マージン部より1mm上方をパラフィンワックスでリリーフしました.
マージン部はリリーフしませんでした.(最後に調整しました)


その後,即時重合レジンを筆ずみで盛り上げました.


形を整え,アンダーカットを付与して


最後にマージン内側のショルダー部やナイフエッジ部を削除して完成としました.
青ラインはマージン,赤はウイング外周です.

印象操作には,いろいろ注意事項がありますので,明日アップいたします.

 
個歯トレーの注意事項                 2011.4.26
 
翌日に注意事項の掲載をお伝えしていたのに,遅れてしまいました.
申し訳ありません.
以下,内藤孝雄さんの講演内容から抜粋したものです.
尊敬する内藤さんに感謝いたします,皆さんからも・・・.

------ 記------
まず最初に,個歯トレーの評価を行います.
 
※ アルジネート印象材を個歯トレーに入れ,一度試しに印象します.
  その印象内面に個歯トレーのレジンが表面に出ていれば,そこを削除します.
 シリコン印象材は柔らかいものを使う(GーC ハイフレックスなど)

 
印象操作
1. 個人トレーにシリコン印象材を盛る
2. 個歯トレーにシリコン印象材を盛る
3. 支台歯マージン部にシリコン印象材を注入
4. 個歯トレーをバイブレーションさせながら口腔内に入れる
5. 個人トレーにて印象完了

講演での操作は以上でした.
但し,実際に行うといろいろな問題が発生することは間違いありません.
新しい発見があり次第,アップいたします.

 
 
アトムさん及び内藤孝雄さんからの追加情報です           2011.4.30
 
アトムさんからの情報
トリプル印象
 
@ 隣在歯がある場合は隣在歯にレストを付け,マージンには
   ウイングを付けず口腔内にてレジンを盛ってマージンを修正する.
A その後,連結をして内面を削りスペース確保し,接着剤を塗って
   レスト内面及び個歯トレーにシリコーンを
注入し印象を行う.
B 次に個人トレーにアルジネート接着剤(デェトレー社フィックス APS)を塗って,
   個歯トレーの上から寒天&アルジネート印象を行う.


トレーから模型を外す時は,個歯トレーが模型にはまった状態で外れるため,
  支台歯を保護した状態で外すことができる.
  またレスト内面までシリコーンを流しているため、個歯トレーに石膏を流せば
   隣在歯コンタクト&歯肉関係の確認模型も出来る。
 
以上,面白い手法で印象されております.
どなたか試してみて,感想などお聞かせください.

他に楽しそうなURLも教えていただきました.
ダウンロードに時間が掛かります,念のため.

http://www.dental-kiefer.com/prasentationINTERNET26.06.08.pd

内藤孝雄さんからの追加情報
 
※ ウイング部のリリーフは,シートワックス或はパラフィンワックスを一層コーティングする.
※個歯トレーには各個トレーを絶対に接触させないこと.
※印象時の個歯トレーは,ゆっくりとバイブレーションさせながら口腔内に戻す.
当方の記事に,以上の3点を追加すれば誰でも素晴らしい印象が可能だそうです.

お二方の優しい心使いで,当方の足りない部分を補っていただきました.
感謝いたします.
 
 
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