きょうの臨床
 
11年後のコーヌスデンチャーリメイク               2009.6.19
 

画像が悪くて申し訳ありません。
11年の歴史を刻んだ上顎のマグネットデンチャーです。
臼歯の人工歯部がフラットに近く咬耗していたので、咬合採得時に咬合面をグルービングして形態修正しておきました。

レジンの薄い部分は咬耗で擦り減っていました、但しこのメタルはマグネットではなくメタルプレートのハウジングのため、亀裂等の発生がなかったのではない だろうか。
この対合歯の下顎コーヌスデンチャーのリメイクです。

これが当時のオルソです。
支持組織の崩壊が進み・歯冠歯根比も悪く、修復しても不安が残る手を付けたくない症例でした。
現在のx-rayが撮影されていなかったため、見比べることは出来ませんでした。
但し、残存している上下歯牙のほとんどに動揺が見られませんでした。


以前当方が作成したコーヌスデンチャーが維持力が弱くなったことと、前歯欠損部の粘膜との間に空隙が生じ、下唇に触れるという患者さんの希望でリメイクす ることになりました。
約11年前には、上顎右上3番と左上7番のみ残存でマグネットデンチャーとなり、下顎はご覧のようにコーヌスデンチャーで修復いたしました。
その間に上顎デンチャーにはリライニングの気配もなく当時のまま、しかし下顎左下5番はマグネットに入れ替わっていました。
この歯科医院は、大手も入れて5〜6件のラボが出入りし、多少の変化では製作者に回ってこないことが多く、途中の経過が掴めないのが難点です。


磨耗具合に不審を抱き患者さんにお聞きしたら ”ブラシし過ぎたのかしら” だって。
咬合による磨耗なのかブラシと合併したものなのか判らないまま、再製作に至りました。
11年間の口腔環境を知ることができなかったが、記憶の中に留めておく事にします。


コーヌス外冠のメタルや前装部にも大きな変化が現れていた。
当時前装はセシードを採用しており、経年変化なのか判らないが、白濁やクラック様の白線が見受けられた。
また、外冠マージン付近のレジンも剥がれたり、メタル自体も折れて無くなっている部分もあった。
なぜマージン部の前装が剥がれたかは、幾つかの理由が考えられる。
1) マージン付近にビーズの維持がなく剥がれやすい。
2) デンチャーを着脱するときに内冠にぶつかるため。
3) 洗っているときに洗面所に落とす。
多分原因の多くは1)と思われます。

ロウ着部を外し、外冠を単独にして口腔内で維持力を回復し、レジンで連結後印象となります。
マグネットはアロンアルファで模型に固定し、重合時に埋入してしまいます。



欠損粘膜部を床用レジンに置き換えるため、その部分の先端をカットして横の外冠にレーザーにて継ぎ足した。



完成
 
 
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