ADTCでの講義内容 その2 2007.6.10 |
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去る2007年5月25日にロサンゼルスの古賀エンタープライズ経営の卒後教育機関 A.D.T.C で行った講演内容のスライドと少々の説明を掲載いたします。 |
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先ほどの模型で見える情報が2つありましたが、1歯肉退縮の量 2角化歯肉の幅 でもここに角化歯肉の幅の診査項目がありません。角化歯肉の幅は多いほどいいのですが、それのみの数値だけでは病状を表せないので診査項目としてはないのです。 |
歯肉退縮の幅は模型でも判ります、次に黄色の文字ですが。歯牙の角度や位置そして咬合関係は口腔内は勿論、マウントすることで技工室でも知ることができますから両方で知ることができるので黄色表示しました。 | |
1)プロービング |
健全な歯肉ではセメントエナメル境まで結合組織があったはずで、現在の状況は辺縁歯肉がCEJより歯根方向へ退縮したと考えられ、セメント質が外界の危険にさらされていると言うことです。 |
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歯肉が退縮するとどんな問題点が浮かび上がってくるのでしょう。 歯肉が退縮しているとは歯槽骨も吸収していると想像されます。 |
付着歯肉の幅が同じでも角化歯肉の幅が違うケースがあります。それはポケットが多く、見せかけの角化歯肉の量で表面上は歯肉の退縮も無く健康そうに見えますが、実際は付着歯肉の幅が同じで左図の方が将来右側の図に移行する可能性があります。 |
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ここまでを整理してみましょう。 そして 簡単で構わないからおぼえましょう。 |
一般に大臼歯は上顎3根・下顎2根の根を有し、根が開いていることで咬合圧をしっかり受け止めてくれるのです。しかし、清掃性から考えると、これがネックとなり病気の発生源になりやすく一度発症すると治癒することがとても難しい場所が根分岐部なのです。 |
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CEJから分岐部までの距離が短く歯肉の退縮が顕著だったり、それ以外でも4〜5mmのポケットがあると付着歯肉がないと言うことで少しの病変がリスク増大につながるのが根分岐部なのです。 |
歯肉に覆われて直接見ることのできない組織をX線写真で診査します。最近はCT撮影で、3次元画像データでパノラマやデンタルフイルム以上にリアルに、そして多くの情報を短時間に見ることが出来ます。 |
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X線画像を読影できるようにしましょう。 | 咬合診査には個々の歯牙の位置異常や形態異常の診査もあります。ここでは上下の咬合状態による歯周組織への影響を簡単に解説します。咬合と歯周組織の関係で咬合理論無くて歯周病は語れなく、逆に歯周病を知らずして咬合を語れない重要な診査項目です。 |
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1歯を4区画(頬側・舌側・近心・遠心)に分け染め出し液を使ってプラークが付着している部分を赤く塗りつぶして、スコアを計算します。 |
これで、全ての検査項目を説明しました。たとえ患者さんの主訴が歯周疾患でなくても口腔内の状態を把握するには、このような診査が不可欠です。全ての診査は行いませんが得られた診査結果をもとに病名を特定し治療計画の立案や方針に役立てるのです。 |
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診査項目が集まりましたら、診断に移ります。歯周疾患を大きく分けると、歯肉炎と歯周炎に分類されます。 通常は取り返しのつく病態が歯肉炎で、つかない病態が歯周炎に分けることができます。 |
歯周疾患の分類法は様々あるようですが、ここでは簡単にその分類の代表的な疾病のみを記します。赤字のみを覚えればよいでしょう。 | |
診査・診断が終わりましたら、治療計画へと進みます。歯周疾患は軽くても基本的には上図のような流れで治療が進められていきます。しかし、最終補綴が終わったから治療の終了ではありません。ここから始まる本人とプロ方々のメンテナンスが永遠続づくのです。 |
初期治療とはプラークや歯石を除去して歯肉の炎症をコントロールします。初期治療では下記項目の全てを行うものではありませんが口腔清掃指導とスケーリングは、ほとんどの患者さんに行われ、他の処置は適宜症状に応じて実施されます。 | |
この図は本人と衛生士さんの仕事の清掃領域を分け、二者の協力が必要とモチベーションを高めるための図式です。清掃領域でクロスするところもありますが、はっきりと区別しました。 |
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ATDCでの講義内容 その3へつづく |
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