きょうの臨床                     2007.3.11
 
インプラントのトラブル〜完成まで
 


前歯部インプラントケースの完成までの長い道のりを説明いたします。
作業を進めていく上でテクニック不足の露呈や完成後に感じた多くの問題点を隠さず、ご説明したいと思います。
前歯5本補綴で左右の2本は単冠のポーセレンマージンのPFM、残り3本はインプラントブリッジです。
左上1は浅く角度もついた埋入でインプラントのプラットホームまで深さ1mm歯肉の厚さが1mmしかありません、右上1は深さ2mm歯肉の厚さは1.5mmです。今後は舌側 ・低位・垂直埋入を提案してみます。
とてもこの歯肉の状態が長く続くとは思えません、したがって出来るかぎりメタルが見えないように配慮してアバットメントをプロセラの酸化アルミニュウムで作製することにしました。
上部構造も左右中切歯は ポーセレンマージンのPFMとし側切歯は延長ポンティックで対合と離すように作る予定です。

プロセラスキャン用のワックスアップです、この時は判っていませんでしたがアバットメントの軸が右側に傾斜しています外冠がメタルになった時点で気づきました。修正せずにそのまま進めました。


オーラルテクノロジー法月(和光市)さんにおいてノーベルバイオケアのFORTEで スキャニングしていただき、スキャン後約1週間で下記の状態のものが送られてきました 、チタンアバットメントより¥1000高い程度です。


ジルコニアと違い扱いに慎重さが求められるマティリアルで辺縁がチップする部分もありましたが、無事修正が終了しました。


この時点で気になることが2点ありました、同時に発注したのに左右色が違います左のプロセラは削合してるとチップし易いように感じました。あと1点は今後大きな問題となるインターナルのメタルとアルミナに隙間があった点です右側のプロセラに。
形態の修正後にメタル部分を机に押し付けて何度も隙間を無くそうとしましたが、叶いませんでした。
少しの 不安を抱きながら作業は進んでいきました。


歯軸の傾斜がワックスアップより 少し良くなってるかのように見えます、強度に不安を持ちながらマージンは縁下0.5mmまで下げました。


スタモのプロビ 画像を撮り忘れました、それを参考にワックスアップ完成・メタルにレジンを盛り試適

試適終了。
左右の色の違いをドクターに指摘されるか心配していましたが無事通過しました。


下顎のシェードはA3.5 右のシェードガイドはA3、患者さんからはA3より少し明るくして欲しいと要望さました。完成
いよいよ装着  アバットメント・上部構造試適、シェードOK、咬合調整OK

”ではセットします”


薄くて不安がある左のスクリュー締めが終了し、右のアバットメントのトルク35Ncm寸前で
バキッ??? (@_@;)

一瞬何が・・・・背筋に冷たいものが


改めて原因を推測すると隙間の存在に問題があったように感じます、アルミナを外してチェックしておけば原因を取り除くことが出来たのではと悔やんでいます。ただ何度も取り外すとメタルが磨り減るので極力外さないいようにしています。
先ほどの問題点は作業を進めてる時点でオーラルテクノロジー法月さんには連絡してありました。
ホッ


現在は破折原因をノーベルで調査中とのことです、しかし再製作ににあたって患者さん・ドクターにかけた迷惑、何回も取り次いでいただいた法月さん・そして一から再製作を余儀なくさせられた私への対応は・・・はっきりとした原因は未定です、しかし皆さん空隙があったら注意しましょう。

2007.2.21記事と2007.2.25記事にも書きましたがメーカーサイド では多くの情報が集まってるはずです、改良や改善するかあるいはユーザーに通達することで回避できることもあるのでは。
そのしわ寄せが技工士・ドクターそして患者さんに及んでるようで、あえてここで事実を記載して皆様の体験やご意見も伺いたいと思います。




気を取り直してチタンアバットメントに変更し、PFMのメタルから全て作り直しました。
以前の アバットメントの傾斜も少し修正し、一気に完成まで進みました。


完成
チタンのアバットメントはトルクをかけてても安心して見ていられます。
患者さんは喜んでいましたし、待合室でお話ししましたが違和感はありませんでした。
しかし改めて画像で見ると全体的に大きく感じますし、中切歯の遠心隅角およびラインアングルも
良くないですね、1・2の幅が左右違っていたのが原因かな、自分擁護 。

 
          
 
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