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元気ですが・・・                      2012.4.20
先日(17日)御徒町にて、「だいさん会特別講義」が山本貴金属東京支社で
開催されました。
講師は、私が神様と崇めている“デンタルラボ玉置”の玉置博規先生です。
「歯科技工を永く行っていくために・・・」という主題で、
〜補綴物の価値を高めるためのコミニュケーションの技法〜という副題でした。

参加されたのは新卒から私のような還暦を過ぎた歯科技工士そして数名の歯科衛生士さんで、
平日にも関わらず約50名ほど集まりました。

2時間弱でしたが氏の豊富な臨床経験や歯科技工に対する姿勢、また映し出される技工物の完成度の高さに身が引き締まる思いでした。
そして厳しい今の技工界で生き抜くためにはドクターとのコミュニケーションが
極めて重要である、と述べておられました。

また若い歯科技工士の方々には楽しく技工を行うことが永く続けられる秘訣だと、
氏のラボの環境やシステムなどの紹介がありました。
そこには100円ショップの活用術などもありジョークを交じえての解説は、
ストーリーの構成でもたいへん勉強になりました。

詳しい内容については、今後発売される歯科技工ならびにQDTに掲載されますので、
ご期待下さい。
また会員募集をしておりましたので、関心をお持ちの方は是非連絡してみてください。

さて、本題です。
その会場で、いつも優しく声を掛けてくださる「オー○○ラ」の吉○さんから

“ホームページが更新されないと病気では・・・と気になる”
とのこと。
まぁ、年齢が年齢ですから、明日という恐れもありますので・・・。
そこで生きている証として、動画を3本アップいたします。

 
じ じ 実はタイトルの「無調整技工物をめざして」と命名したのは、
Cr-Brなどは当然のことながら、上下総義歯の「無調整」を指しているのです。

何故今まで言及しなかったのか、それは全症例で達成するのは不可能であるからです。
しかし努力さえ怠らなければ「無調整」のパーセンテージを
上げることができると信じるからこそ、このタイトルにいたしました。

そこで、今年になりまして以下の三つの上下総義歯を作りました。
(片顎だけの総義歯は他に数症例完成しています)
インプラントのオーバーデンチャー(1症例)も含まれますが、
さて勝率は・・・私からは言えません。
 
3症例はここに  
歯科医療とは、食べ物をお口に運び咀嚼して、そして嚥下するまでの一連のサイクルの中で、
口腔粘膜との関係、咀嚼嚥下時の舌と筋肉の調和、そして咬合関係や
チューイングサイクルなどを適正に構築して、
患者さんに快適な生活を送っていただくためのものです。

特にランドマークが少なくなった総義歯においては、上記の条件を
全てクリアーさせることは大変難しいことです。
それ故、我々は口腔解剖学や咬合学を学び、そこで得たノウハウを義歯全体に表し、
患者さんに喜びを与えようと心掛けているのです。

それなのに装着された義歯が不安定で、上顎義歯が落っこちたり
下顎義歯が浮き上がるようでは、食物を捕らえることができないうえに、
ズレた位置で咀嚼することで、潰瘍などを引き起こし
患者さんに負担を掛けることになります。

無論、完成した義歯を口腔内に装着するとき、多少の調整が必要になることは
当然ありますが、製作者側の目標としては調整を極力少なくすることだと思います。
しかし、総義歯にはチェアサイドで調整しきれない領域があり、そこにエラーがあると
リマウントなどでラボサイドに返されてくることになるのです。

例えばCr-Brでは隣接面コンタクトや高さの調整は可能でも、
不適合なCr-Brは到底受け入れられない筈です。
総義歯も然り、調整可能な範囲は限定され、何から何まで全てチェアサイドで
調整できるものではありません。

調整不可能な領域は咬合関係
だと思います

そのためラボサイドで動画のような上下の咬合関係を作り上げるよう努力しています。
この時点で理想の咬合関係が構築されていないと、口腔内でそれ以上のものに
なることが無いからです。
そのためには、あらゆる方向(前・後・左右)から咬みこんでも中心咬合位に誘導されるように
重合後リマウントし、選択削合及び自動削合まで確実に行うことです。

但し、このような上下関係が口腔内でも同じように再現されていなければ、
全く意味をなさないため、ゴシックアーチは必須でその上で

ステップ毎のエラーを無くすこと、さらにマテリアルの状態変化による誤差を
修正しながら完成させることに尽きます


そうすることで内面のあたりは別として、ポリッシングサーフェスやボーダーなどの
調整が減少し「無調整」に近づけられるのです。

言葉で言うのは簡単ですが、中々大変なことで
引退するまで達成できないでしょう。
 
 
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