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HMPSに出席して                       2009.9.6
9月6日、東京九段で「HMPS 3rd congress in Tokyo」が開催された。
今回のHMPSはハワイではなく東京で開催されたため、1・2回とは違い約500名ほどの参加者数になったそうだ。
いかにもセラミストという雰囲気が滲み出ているファッショナブルで若いテクニシャンが多く、各プレゼンに熱い視線が注がれていた。それにも増して進行役を務めた、華やかで魅力的な”gggのご令嬢”メアリーさんは皆の注目を浴びていた。

さて先頭は、林直樹氏と高橋健氏の「Esthetic innovation]”審美の革新”と解釈してよいのか判らないが、両氏のコラボレーションによる基調講演から始まった。
お二人は審美ゾーンの修復を、補綴歯周辺支持組織や隣在歯への介入度合いでタイプ1〜4に分類し、それぞれタイプ別に症例を提示し介入に至った経緯と目標とすべき結果を説明した。
さらに難易度が増すに従い、最終修復形態と色調をPCでシュミレーションし患者さんに提案する手法で、素晴らしい結果も披露されていた。
「Natural Restration」と「Estheic Restration」を分類するためにタイプ分けしたのか、症例毎に難易度を分類したのか理解できない所もありましたが、世界に名を轟かせているお二人では、例え手法や考え方が違えども、難易度なんかは問題にもならないほどの卓越した出来具合は当然の結果で、ため息が出たのは私だけではないであろう。 次の湯浅直人氏からは「ポーセレンクラウン修復における生命感の表現」という演題で、インターナルステインをメインにして生命感溢れるセラミックワークの紹介がありました。
氏はオールセラミッククラウンを製作するにあたり、周りの環境を口腔内と同化させるため、第1に支台歯の色調をレジンで再現して、その上でオールセラミッククラウンを製作するようにしている。また、歯肉色の反映を見るため、擬似歯肉を付けてマージン付近のセラミック透過性の違いによるピンク色の影響を考慮して、色調を再現していた。
つまり、当該歯の環境と下地である象牙質構造の色調に対するインターナルステインの描き方、そしてエナメル層の築成へと、色調にしっかりとした理念を持ち、確実なパウダーコントロールとステイニングで完璧な臨床を披露していた。
これから、売り出していくであろう歯科技工士を一人発見した気分であった。
昼食の休憩が1時間30分と不思議なくらい長く、無為な時間を過ごすのは性に合わないので北の丸公園を1時間弱ウオーキングしてきました。さらに東京近代美術館・工芸館が当日入館料が無料だったので、早足に展示会場も回ってきました。

午後からの講演はQDT8月号で素晴らしいインプラント症例を披露されたUCLAの遠藤氏の講演から始まった。
氏は以前にもQDTのMasterpieceでお馴染みになったプロトタイプワックスアップは、最終ゴールであるFinal Restration の設計図であり、このワックスアップの完成度が高くなくして、患者さんの満足は得られないと力説していた。
また、「Estheic Zoon」では左右の形態のバランスや咬合平面などをカメラで撮影し、パソコン上でラインや形態の確認することは必須であると言っていた。
さらに、誌面では説明できなかった歯肉色パウダーの発色に及ぼすオペークの影響などを、実験を交えて解説され、氏の並々ならぬ歯科医療に対する拘りとパワーを感じました。確実な技術が修復物のいたるところに窺え、今回の症例はその集大成と思われる。また、受講者に対して誠実に訴えている姿と余分なものをなくして真面目でしっかりしたプレゼンは、質実剛健で氏の技工に対する物語を聞いているようだった。


熱気ムンムンの講演会場を抜け出し、メーカー展示や書籍の展示を見て回りました。
20分ほどのつもりが、3メーカーに捕まりなんと1時間以上も貴重な講演を聞き逃しました。
したがって、拝聴できなかった2演者の方、ここに記載できなかったことをお詫びいたします。
また、拝聴した方々全ての感想を書くことができないため、興味のある方は是非次回のコングレスに出席してみてください。  以上



このケースのように自身では完成したつもりが、PC画像で見ると多くの欠点が浮き彫りなり落胆することがよくあります。遠藤さんのアドバイスを実践する決心をいたしました。
 
 
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