最新記事
 
夏合宿が終わって                   2009.8.25
 
さる8月22-23日に山中湖にて、夏合宿がありました。
この合宿は「○○○-地下水脈」という名称で、記憶がはっきりしていないが今年で多分29回目だと、出合あった瞬間から皆で話題になったほど永〜い勉強会 です。私は、その29回の内6回くらいしか参加しておりません、それはラボを開業してからは多忙を理由に、案内があっても出席しなかったことも多かった。
この「○○○-地下水脈」のいわれは、某大学の臨床研究所の主流から分かれて、地下に潜り滔滔(とうとう)と流れている水脈の意なのです。ここに至ったの は、上層部の圧制などで辛酸を舐めさせられ、地下に潜らざるを得なかった反骨精神を持った集合体なのです。しかし、各々は独自で活躍され、この1年間情報 誌や新聞に掲載されたのは7人中4人でした。

ところで話が変わりますが、辛酸の”辛さ”は味覚ですか? いえ違います”○○”なのです。
これも今回の合宿でプレゼンされた方がいらしたのです、その内容は「温度と痛みを感じるメカニズム」というお話でした。そうです”辛さ”は味覚ではなく痛 覚なのです、したがって”とうがらし”を体に塗ると温かく感じるのは、痛みを感じているのと同じことなのだそうです。キムチを食してヒリヒリするのは、神 経細胞が痛みを訴えているのです、くれぐれも”激辛”などという自虐的(マゾ)行為は避けてください。合宿では、症例発表は勿論このような話から宇宙の 謎・生命の謎・脳の謎まで、幅広いテーマでプレゼンがあったり議論されたりすることもあります。
今回、当方が組んだプレゼンの何とスケールの小さなこと、恥ずかしくてとてもする気になれませんでした。ともあれ、今回は当方が仕切る権利を持っていたた め時間が押されるようにスケジュールを組み、発表を逃れることができました。ホォ 寝ないで作ったプレゼンなのに少々残念。
ただ、前日の夕方に少しだけ雄姿を見せていた富士山が、朝4:00から起きて眺めていた御褒美に、美し い傘を差して現れたのは感動そのものでした。
とても6日前に頂上に立って上からXIVを眺めたとは思えないほど、幻想的で美しい姿でした。3:00頃に床 についた全員をたたき起こしたのは言うまでもありません。

(6日前、頂上から眺めたXIVと須走口登山道)

やはり家に帰ってから日の目を見なかったプレゼンの悔しさを、何処かにぶつけてなくては気が治まりません。そこで、ホームページにスライドの全容をのせ て、プレゼンの供養といたします。
さらに、8月8日Nobel Biocare社の「Esthetic Forum 2009」後に行われた「裏 フォーラム」のプレゼンも同時に行いたいと思います。ご理解ください。

(夏合宿に予定していたプレゼンの全容。副題”なぜ、修復物は高くなるの?”) ドクター向け

(「裏 フォーラム」で行ったプレゼンの全容”生体と模型のギャップは知識で埋める”)技工士向け

今年の夏は、30日の「総義歯セミナー」を残すのみとなりました。これは受講するだけですから、少しほっとしています。

 

 
Nobel Biocare社の「Esthetic Forum 2009 」                2009.8.8-9
 
その1
8・9日の2日間 品川プリンスホテルにて、Nobel Biocare社の「Esthetic Forum 2009」が開催されました。今年のメインテーマは ”求められるチームアプローチ”とあり、国内から90名近い演者の熱演が2会場で、そしてハンズオン /ワークショップが4会場で行われました。
演者の方は、、テーマに準じた構成になっていました。モデレーターという司会者の進行で、プレゼンターのメイン講演に続き、その演題で3〜5人のエキス パートパネルの追加講演が行われるシステムであった。エキスパートパネラーは、さらにその演題を深く掘り下げたり、それぞれの研究分野の発表だったりと、 飽きさせない構成であった。
ただ、同時に2会場で開始されるプログラムでは、聞きたい演者がダブルと普段聞けない方につい足が向いてしまう。そのため、技工セッションは1テーマしか 聞くことができず、残念でなりません。





今回の目玉は、今夏発売予定の「プロセラ新スキャナー」の展示が、歯科技工士の注目の的であった。当方 は導入予定がないためか、あまり興味がなくカメラで全容を収め、一 目みて講演会場に移動した。

画像は「新スキャナー」とプロセラコンテストの技工戦士さんの作品(距離がありコンデジでは不鮮明、陳謝)
keyword(角化歯肉{付着歯肉}・CTG)

その2
数日前に送られてきたプログラムから、雑誌の論文などで注目していた「鈴木 真名先生」の講演をどうしても拝聴したくて、同時間開催の「じるぅさん」の講 演を聞き逃しました。申し訳ない、次回は最優先で拝聴させていただきます。
プレゼンター鈴木真名先生の「インプラント治療における軟組織のマネージメント」という講演内容は、リセッションを起こした2症例のリカバーを、他のドク ターから依頼されCTGにて角化歯肉を増やし、見事に歯軸を変え歯冠長を短くし、審美性を回復した症例でした。さらに驚いたのは、その10年後でも再発す ることなく現状を維持しているテクニックには感激しました。

氏の独特の考え方や手法は以前より論文などで拝見していたため、その技法を実施する時期が適切なのか?  それが長期的に維持されるのか?それは鈴木先生だからできるのか? 多くの疑問を持ちながら講演内容に注目していました。講演では見事にその疑問を払拭 してくれ、日々の高度な臨床レベルがそれを可能にしたことを感じ取ることができました。

Keyword でも書いたように、天然歯やインプラントの恒常性を維持するためには、角化歯肉の幅と高さの獲得は不可欠である。特に、インプラント治療では、天然歯とは 支持組織の構造が違うため確保したい角化歯肉のボリュームは、天然歯以上に厚さをとりたい。
そのわけは、「血流量を増やし栄養の供給で細菌や外力に抵抗するパワーを得るのだ」と、そこまでは言っていなかったかな!。 ^_^;

そのため天然歯の周囲組織がV:H=1.5:1ならば、インプラント治療では逆転しV:H=1:1.5 であれば周囲組織の恒常性を保つのだと。それをアバットメントのフォームに反映させるには、唇側の周囲組織が薄いほど、アバットメントの形態はインプラン ト体よりはみ出さないフォームか、プラットフォーム・シフティングなどで角化歯肉の厚さを確保しなければならない。当然口腔前庭を広く付着歯肉の幅を多く することも目標とすべきである。
さらに、欠損部唇側の歯肉退縮もCTGで豊隆を回復し、長期維持している結果をみれば歯槽骨の有無は、ある程度であれば問題とはならないようだ。
したがって、上記を前提にすれば、鈴木先生のCTGによるリカバーが当然成り立つわけで、歯槽骨はあったに越したことはないが、存在しなくても角化歯肉の ボリュームで解決できるようである。だから誰でも出来るとは思わないが日々の臨床がそれを成し遂げるのであろう。このようなドクターとチーム医療を成し遂 げる歯科技工士は、現在Mr.X氏くらいしか思い当たらない。

偉そうなことを書いたが、自分の技術では到底追いつきそうにもない。
歯科技工士を引退する時期が早まってきたようである。(; _ ;)/~~バイバイ

その3
今夏発売される「新スキャナー」の前では、フォルテ所有者ほど危機感を感じているよ うで熱心に営業に質問したり、横から下から穴が開くほど眺めていた。この「新スキャナー」は、接触式だった「フォルテ」と全く違う方式で、スキャン部位を カメラで特定しレーザー(光学式)で読み込む方式に変更になった。さらに接触しないため圧がかからなく、不安定なパターンでも変位することがなくスキャン できるようになった。
また、レーザー光の直線回帰型方式は他社の三角測定法と比べ誤差が少なく、アンダーカットも正確に測定できるようである。加えて、多種類のライブラリーか ら支台形態を抽出できるため、レジンアップすることなくフレームデザインができるようだ。頼もしい機器の出現はCAD/CAMの進化の一歩ではあるが、も しファイル形式に互換性をもったなら、購入時にユーザの決断を鈍らせるかもしれない。
尚、還暦近い当方には購入する勇気はない、何故なら機器を償却する前に、私が焼却されて骨と化すかもしれないからだ。
2日間で、技工セッションは1プログラムだけ、メイン会場は6セッション受講することができた。しか し、受講後2日も経過すると年齢のためか、感想を書こうとしても記憶が甦ってこない。以下、記憶に残っている事項を簡単に記します。
今回のフォーラムの目的は、やはりプロセラインプラントブリッジ(以下PIB)の売り込みにあったようです。そのためか、多くのドクターはプロセラの有効 性を強調しており、作業時間の短縮や経済性、適合精度においても現状の技術よりはるかに優位で、このニューテクノロジーを使わない手はないと、誰しも異口 同音に熱弁を振るっていた。確かに、既存の技術ではフルに近い症例の適合は至難のことで、そこをCAD/CAMに任せてしまえば、随分と楽になることは間 違いない。しかし、ジルコニアはアバットメントレベルでは出来ないし、チタンでは前装に不安が残る。また、コンプレインの基準も曖昧で、ろう着できる金合金の優位な 側面も、逆に浮き彫りにされてしまった。
当然、臨床レベルは術者によってまちまちで、その術式でPIBの精度を語る資格もない方もいたように感じられた。それを、真に受けて若いドクターがPIB に走る姿を想像すると、怖くなる。

ところで、○○先生の講演でPIBのフルマウスを装着するときに「神様に祈る」と言われました。
神を引用するなら、「努力を怠れば、神は見放す」のほうが、私は好きです。

(その4) 裏フォーラムの顛末を書く気力がなくなってきた。
誰か手を上げて
 
 
Copy right by ooyama