きょうの臨床                     2007.11.28
 
ボンディング・エージェントの疑問
 

以前形態修正するころになるとオペークから餅が膨れるように気泡が出てくることがあり、或るBBSで質問したところ「モ○○さん」と言う方からお返事を頂きました。
氏曰く、それは鋳造時の鋳巣が原因でAurofilm 2000を全体に塗布すると、発生しなくなりますと教えられました。
それからAurofilm 2000を使っています、ただその時に980℃で焼成するとシルバー色になるとおしゃっていました。
使い始めの初期のころは、私もシルバー色になり疑問を持ちながら日々を過ごしていましたところ、ある寒い日ブロワーでメタルを暖めてから塗布してみたら、とても快適に流れるようにメタルに乗ってくるではないですか。
それから、試行錯誤(大袈裟)していると、下記のようなゴールド色に仕上げることができるようになりました。
皆様にお知らせしてご意見を伺いたいと思いアップロードしました。
以下、私の作業ステップを記述いたします。


まずブロワーにてメタルを暖めます、ドライヤーかファーネスでも構いませんが暖めすぎると逆に塗布しにくくなります。
老人専用ルーペで確認しながらオーバーやアンダーにならないように塗布します。


焼成することなく、2度目の塗布にかかります。
ブロワーで1回目のボンディングエージェントを乾燥させます、表面の液が揮発するまで。


少し冷ましてからルーペで見ながらマージン先端に再度ボンディングエージェントを塗布して980℃で焼成します。
980℃ 2min係留すること


焼成後と1次オペーク後です。
私の推測ではメーカーはこの位のゴールド色を狙って製品化してる筈で、決してシルバー色を目標にしてるのではないと思います。
世界に広く販売する製品あれば当然でしょう。


2次オペーク終了時。

                             
マージン部のアップです、2段上の画像と比較すると先端にオペークが不足してる箇所が完成画像でも確認できます。ルーペで見てても老人は見えていないのです。
またゴールド色が表面まで浮き出ているように見える かな?
ディープバイトの症例で骨隆起の表情から咬合圧が強い方と見受けられます。
CT画像で歯根と歯槽骨の関係を見てみたい症例ですネ。
左2番の形態が、いただけません イカンイカン

考察
ボンディングエージェントを希釈すると塗れているようでも焼成後には薄い膜になってしまう。
出来る限り希釈しないで扱うようにしたほうがメーカーの意図に添うように感じました。

マージン部の塗布する意義は2つあると思います。
1つ目は小田中さんの言われるようにブラックライン対策です、その為にもゴールド色が有効で少々厚くなっても塗る意義はあると感じています。
2つ目はポーセレン表面の滑沢度合いを高めるためには焼付け強度が必要になってきます。
特にマージン部のポーセレンはコンデンスにより常に歯冠側に引かれる宿命で盛り足しても盛り足しても粗造になりがちで、多く盛り足してポイントで削合していくしかありません。
その時に焼付け強度があると安心してマージン付近を仕上げることが出来ると思います。以前は低い焼成温度で上記の作業をしているとポーセレンが剥げ落ちることが何度かありました。
QDTには強度が上がると小田中さんが言っていたのにと、疑問をいだいたいたのですが温度をあげることで解決いたしました、陳謝
茶々丸さん、画像のように確かに塗布した部分は彩度が高くなります、そのためオペークは単色で仕上げています、但し私は色調をうんぬん言えるだけのものは持ち合わせていませんので。

取り急ぎ簡単に説明しましたが、修正や追加等がありましたら「超ぷち」にお知らせください。

 

実験の結果  2007.1128
1回塗りの所はシルバー色に、2回塗りのところはゴールド色になり、但し2回塗りでも薄塗りのところはシルバーになりました。よって小田中さんの解説と合体させると全体は1度塗りで焼付け強度を増し、マージン部のブラックライン対策は2度塗りがベターと結論に至りました。
但し、焼成が増すごとに少しずつゴールド色がシルバー色に移行していきます、4〜5回焼成で変化が少し伺えるくらいですが、焼成回数は少ないに越したことはありません。
追加
メタルフレームを暖める温度は確定していませんが、1度目および2度目とも60℃位〜80℃位までで最初は試してみてください。

小田中さんから”◎”を頂きました。 (^^♪

 
2007年 11月に ”ボンディングエージェントの疑問”でペースト塗布の工夫でボンディングエージェントをゴールド色に仕上げる方法を記載しましたが、その副作用と思われる症状が発生しました。


この症例は、マージン設定が浅く辺縁歯肉ギリギリでシャンファー形成だったと記憶しています。
模型歯肉部は少しは削ってありますが、マージン部の位置は浅い設定でした。
話が外れますが、作業模型に気泡の多い原因を突き止めました、歯科医院の真空攪拌機に問題ありでした。

  
今日左下作成のために画像が送られてきました。
その画像の中に以前作成した中切歯の画像が含まれていました、 マージン部にボンディングエージェントのゴールド色が表面まで現れています。
B系統のシェードであれば、それほど問題にならないがA系統は問題です、ゴールド色を抑える対策を考える必要があります。
 
 
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