きょうの臨床                     2007.7.30
 
前歯補綴とレーザ溶接機                  2007.7.30
 

左右犬歯は有髄歯と思われ大きな支台歯では、形態および色調に満足できる補綴物を作る自信はまったくありません。

問題のアズキャスト。


この時点で9割ほどのメタル調整を終わらせておきます。
YAGレーザ溶接機とは、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)結晶にランプ光を当てることで結晶中の原子が励起され、放出光が共振器内をを往復してレーザ光を強め出射するレーザ溶接機です。
この機種は工業用レーザ溶接機で最大定格出力が10Wと弱くエネルギーも15J/Pで微細の溶接に適しています、私はスポット溶接でロウ着前の仮止めに使っています。
特徴は発振されたレーザ光をファイバ光学系を用いて集光し本体と離れた位置で溶接することができます、その上3箇所のポイントを同時に溶接できることで被溶接物の位置関係の狂いを極力避けることができる優れものです。
では、 放出光は1箇所なのに何故3箇所から同じパワーのレーザ光を出射できるのでしょうか。
意外と単純な原理を使って分岐してあるのです。
本体にミラーが3枚あります、どの様なミラーを使ってあるのでしょうか?


答えはミラーの透過率です。  
放出光を45度傾けたミラーに照射します、普通は光がミラーに反射して100%90度角度を変えた方向に向かいます。
しかし、ミラーを33,33%のみ反射して残りを透過するものを使います、すると1/3に減じた光を得ることができます。その後透過した光を50%反射するミラーで1/2の光を透過し、ここでも全体の1/3の光を得ます。最終的には100%反射するミラーに照射され3箇所から等分された光を出すことができるのです。
その等分された光を、ファイバを通して誘導すると離れた場所でも溶接することが可能になる訳です。


その光ファイバにはSI型とGI型の2種類あり、SI型はコア、クラッド間で全反射しコアがフラットなため加工特性としては鍋底のような平面的な溶け方をします。
一方GI型はコアがおしゃぶりのようなビーム型をしており放射状に伝送し、溶接痕はクレーター状に溶け込み、用途によって使い分けられます。
当方のコアはGI型で、溶接の精度を高めるために、SI型に変更を予定しています。


但し、出射レンズから一定の焦点距離を正確に設定する必要があり、2方向からの照準はフリーハンドではとても難しく、セットアップするにはX・Y・Z軸を微調整できるメカニカルステージが必要になってきます。
左画像は、出射レンズの焦点距離を決めるために赤色レーザ光をレンズ上方に取り付け、レンズからのレーザ光との交点を正確な焦点距離となるように組み上げてあります。


X軸を左右に移動させると右画像の2点の光が、1点集中しビジュアル的に確認できるようにしてあります。


唇舌に3箇所づつ 計6箇所の仮り止め。
レジンで止める訳は、少しでも狂いを少なくしたいのと、着脱時の力加減を覚えておき仮着前後の違いを確認するためです。


埋没材は一切使いません。使うのはイワシかワックスの空き缶とガスのブローパイプ。
炎が缶の中を回りメタル全体が均一な温度になり、変形を少しでも防げると思われます。






根気の無さががテクスチャに現れています。ディテールの与え方を研究しなければ。
もっと上手くなりたい  by ooyama
 
      
 
Copy right by ooyama